SONY CLASSICALの新譜2題

【そのいち】エサ=ペッカ・サロネン指揮ロサンジェルス・フィルの演奏によるバーナード・ハーマン映画音楽集が出た(SK 62700)。
 自ら作曲もし、近現代音楽にスルドい棒さばきをみせるサロネンについては、その新譜がたえず世の耳目を集めるわけで、編集者の記憶に残るものも多数(メシアン『トゥランガリーラ』、ドビュッシィ『夜想曲』、バルトーク『ピアノ協奏曲#1-3』、ルトスワフスキ『交響曲#2-4』等々)。しかし今度は何と意表をついての映画音楽。
 バーナード・ハーマンと言えばアルフレッド・ヒチコックということで、このアルバムにも『知り過ぎていた男』『マーニー』『北北西に進路を取れ』『めまい』『引き裂かれたカーテン』といった傑作群が並ぶ。それにトリュフォーの『華氏451』、マーチン・スコセッシの『タクシー・ドライバー』も含まれる。演奏はじつに真面目で立派。
 で、ジャケ絵だが、サロネンが上目遣いにこちらを見上げるモノクロームのアップ写真。美男子系の指揮者を見事に演出・加工して、性格俳優に仕立て上げた。独特のサスペンスフルなムードは、そう、『サイコ』を意識していると言って間違いない。SONY CLASSICALのロゴをあえて外したのも見識(裏ジャケには入ってますけど)。

【そのに】ピッツバーグ交響楽団での録音相次ぐロリン・マゼール、レスピーギのローマ三部作が出た(SK 66843)。
 古代遺跡の回廊をとらえた写真をセピア調に加工し、曲名をあしらっただけの、何でもないシンプルなものなんだけど、とてもお洒落。ローマ三部作の録音のジャケ絵っていまいちなモノが多いだけに、これは貴重(って、何処がだ(^_^;))。それにしてもCBS時代には、あまり気の利いたジャケ絵の無いレーベルだったんだが。
 但し演奏内容については、ここではあまり語りたくないのであった(苦笑)。 (1996.12.30)


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