1998.07.24
 ムーンライダーズの新作『月面讃歌』を繰り返し聴いている、のだが、前評判の割には、うーむ、もう一つピンと来ないのだよな。ここしばらくの路線は継承されていて、アヴァンギャルドっぽい雰囲気はやや後退し、おじさん連中の元気印ロックが繰り広げられているのだが、うーむ、う゛ーむ、少し疲れてないか? 相変わらず歌詞は絶望的なまでに美しいのだが....。
 編集者にとってのライダーズのお気に入りは『マニア・マニエラ』『青空百景』『アニマル・インデックス』『ドント・トラスト・オーヴァ・30』あたり。う゛う゛ーむ、傑作の森だ。もっとも、発売当時は今ひとつかと思われた『AOR』あたりですら、今は懐かしく、名曲だったなぁと思い出されるので、今回の『月面讃歌』もやがて、味わいを理解するに至るかも。そんなわけで、繰り返し聴いているのである。
 『20世紀のムーンライダーズ』音楽之友社刊 は未だ入手できていない。ほんとに出たのかな、これ(^_^;)。

1998.07.22
 98/6/26の当編集日記で書いた映画『オリエント急行殺人事件』であるが、じつに20年以上を経てヴィデオにて再会。うーむ、懐かしい。そして、タイトルやら何やらのいくつかのカットをじつに鮮明に記憶していたことに驚く。映画としての出来映えは....シドニィ・ルメットは、当時の彼としては珍しいハリウッド娯楽作品をそつなく撮っていたが、まぁ脚本に無理があるな、これは(^_^;)。2時間で収めるには、各々名優揃いの役者達を、登場/探偵のヒアリング/謎解きの3シーンずつしか使えないのが勿体ない。
 その役者達だが、ほぼ登場順にヴァネッサ・レッドグレイヴ、アルバート・フィニィ、ショーン・コネリィ、マーティン・バルサム、リチャード・ウィドマーク、アンソニィ・パーキンス、サー・ジョン・ギルグッド、ジャン・ピエール・カッセル、マイケル・ヨーク、ジャクリーン・ビセット、ローレン・バコール、イングリッド・バーグマン、ウェンディ・ヒラー....と錚々たる顔ぶれ。白熱の演技合戦だが、ポワロ役のアルバート・フィニィの熱演(怪演?)は別とすると、イングリッド・バーグマンが凄い。恐るべき名女優である。
 音楽は、当通信でかつて大間違いをやらかしたリチャード・ロドニィ・ベネット。お詫びの印に新情報を記しておくと、テーマ演奏は何とコヴェント・ガーデン・ロイヤル・オペラハウス管なのだと、クレジットされていた。指揮はマーカス・ドッズというひとなのだそうだが、聞かない名前だ。

 というわけで、ながながとヴィデオ鑑賞記など書いたが、じつは編集者の家に二人目の子供が産まれた。身長50cm、体重3,346gの男の子、という訳で、母親が入院、娘が寝静まった後に映画を観たりしている事情なのである。ついこんなところにまで私的な出来事を書き散らしてしまう親馬鹿ぶりをお笑い下さい(_ _)。

1998.07.18
 先週の土曜出勤以来、いろいろ重なってへたばり続ける編集者。いちおうCDは結構聴いていて、ライヴを聴き損ねて口惜し紛れに入手したタン・ドゥン『マルコ・ポーロ』に大爆笑(いや、誉めてるんですけど)。現代音楽の類でここまで感動したのは久しぶり。やっぱ、何としてもステージは観ておくんだった、と後悔しきり。どこかで映像がパッケージ化されないだろうか。
 その他、NAXOSのディリアスとか、アーノルドの3-4番とか、ヴァイスのリュート曲集なんかも聴いた。アーノルドはなかなか良かった。あ、アノニマス4の録音も聴いたな。
 ところで、来週はライダーズ週になるかも。迂闊にも気付かなかったのであるが、ムーンライダーズの新譜が出ているではないか。アルバム名は『月面讃歌』。ライダーズ大好きの友人編集者によれば『ドント・トラスト・オーヴァ・30』以来の傑作とか。これは期待できる。ちなみにその編集者が永年暖めてきた企画がついに出版される。
  • 『20世紀のムーンライダーズ』
  • 月面探査委員会編
  • 音楽之友社 2,100円+税
     きょう銀座の山野楽器へ行ったら、未だ出ていないようだったが、近々書店に並ぶと思うので、関係者はぜひお手にとってご覧戴きたい。もちろんそのままレジまで持っていって戴いて良いのであるが(^^;)。
     話題はさらに変わって、リンク集に愛読しているまついさんのページ ars combinatoria を追加。とにかくデザインが美しいのが魅力なのだが、音楽関係の話題も豊富で、コンサート評など切れ味鋭く突っ込んでくるのがけっこう爽快。ぜひご覧下さい。
  • 1998.07.12
     久しぶりの土曜出勤にへたばる編集者。金曜日のタン・ドゥンのオペラ『マルコ・ポーロ』日本初演も聴き逃す。行きたかったなぁ。
     オフィスに誰もいなかったのを幸い、近くの同僚のパソコンを立ち上げて音楽CDをかけ、BGMに。なぜか音盤は自席の引き出しに数十枚入っているのだ。オックスフォード・カメラータのア・カペラや、ペルルミュテールのショパン作品集6枚組なんぞを流してみる。うっかりR・シュトラウスあたりをかけると、耳がそちらに集中してしまって仕事どころではなくなってしまうのだった。
     久しぶりに情報ページを更新。友人のピアニストたちがデュオ・コンサートを開くことになったので、そのご案内。真夏の午後、ちょっと凝ったプログラムによるピアノ・デュオはいかが?

    1998.07.10
     東京新宿の伊勢丹美術館で、オーストリアの芸術家フンデルトヴァッサーの展覧会をやっている(今月末くらいまで)。ヴィーンでフンデルトヴァッサー・ハウスを見学して以来、結構気に入っているひとなので、ぜひ観にいきたいと思っている。
     作品の絵画の隅っこに、たどたどしい漢字で「百水」なんて書いてあったりする。フンデルト・ヴァッサーだからなのだそうだが、日本びいきのひとでもある。「直線に神は宿らない」という信念で建てた上記のハウスは、床がうねっていたりして、さながらガウディのよう。

    1998.07.09
     だいぶ以前から気になって、いちど行ってみたいと思っていたインド料理屋「カーナ・ピーナ」に連れていって戴いた。東急東横線祐天寺駅東口から歩いて数分、殆ど住宅地のなかに、そのお店はあった。ビールにサモサやらパコラやらをつまみながら雑談。ひとしきり話に花が咲いたところで、いよいよカレーをオーダー。チキン、マトン、ポークなどオーソドックスな品揃えに、辛さの指定をマイルド、セミホット、ホットの三段階で選ぶ。編集者はマトンのホットを選択。待つこと数分、やがて店内に強烈なスパイスの香りが漂い始め、連れも自分も目頭をおさえ始める。感激して泣いているのではなく「香りが目にしみる」のである(^_^;)。そうして運ばれてきたカレーはどちらかというと暗赤色。口に運ぶともはや忘我の心地で、口をきくのもそこそこに、目の前のカレーとの格闘を強いられる....

     我にかえると、全身は汗でずぶぬれ。口腔はなんだか火傷のよう。でも非常に爽やかな気分となり、ダヒ(ヨーグルト)がとても美味なのであった。お土産にチキンカレーを包んで貰ったが、東横線→日比谷線→伊勢崎線と乗り継いで帰宅する道すがら、車内は日本ではないかのような、エスニックな香りに満ちていたに違いない。インターネットで通販もやっている。ぜひお勧め(^o^)。

    1998.07.03
     思い立って、バッハ・コレギウム・ジャパン(略してBCJ)の定期会員になった。で、7/02が今シーズン第一回目の定演だったのだが、会議につかまってしまって遅刻。休憩前までのプログラムをフイにする。おまけにここ数日の睡眠不足がたたって殆ど何も聴いていなかった状態。悲しい。
     まぁしかし、舞台上に「おぉ、鈴木秀美が」「寺神戸が」とミーハー状態で多少満足。米良はいなかった。後半のプログラムはバッハの二挺ヴァイオリンの協奏曲とカンタータの何か(^_^;)。ソリストはソプラノ、バスも良かったが、とりわけゲルト・テュルクというテナーが素晴らしいと思った。プログラム500円は少し高価いかんじ。カンパのようなものなのかな。


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