1998.12.31
 斉諧生さんに是非とお勧め戴いた、アルト・ノラスが弾くショスタコーヴィチのチェロ・ソナタを銀座HMVで見つけ、すかさず入手。廃盤と聞いていたが、運が良かったのか。カップリングのシューベルト(アルペジオーネ・ソナタ)と合わせて何度も聴いてみる。ショスタコでは表情といいテンポといい、厳格なまでに抑制された演奏の背後に、何か強烈な、凄みのようなものを感じる音楽。シューベルトが始まって少しホッとする。

 何だかんだと云っているうちに、慌ただしく年が過ぎようとしている。今月初めに差し替えた当通信の表紙、どうも気に入らないので、わずかに自由になった年の瀬の半日を費やしてあれこれ試行錯誤してみたが、結局はご覧の有様。いつもながらのセンスのなさに、自己嫌悪に陥る。
 しかしまぁ、やってしまったことは仕方がない(何がだ)ので、1998年の回顧と反省もひっくるめて、正月にのんびり大酒をくらいながら先々のことなどを考えることにしようかと。しかしなぁ、1999年もあんまり明るい年じゃなさそうだしなぁ。いかんいかん、ついマイナス思考になってしまうわたし。

 というわけで、当通信も相も変わらずぼちぼちとやっていく所存ですので、来る年も何卒ご贔屓の程宜しくお願い申し上げます。

1998.12.29
 あるパソコン通信のフォーラムをぼんやり眺めていて「12/27のオフ会」の話題を読みながら「あれっ、12/27ってまだ先の話だったんでは?」などと寝ぼけていたのだが、巷はすっかりお正月準備モードだそうで。こちらの方ではいったいいつが仕事納めやら、という雰囲気なのだが。大半の会社は28日で本年の業務は全て終了、というところなのだろうか。
 仕事上のやっかいな話を抱え込んで意気消沈しているときにカーゾンの弾くモーツァルトの協奏曲などを聴くと、しみじみとして少し安らぐのがなかなか有り難い。できることなら、慌ただしい年の瀬だが、少し静かなところでゆっくりと、こんなCDを聴いていられると嬉しいのだが。

1998.12.24
 12/23の職場方面、巷はクリスマスムード一色。にも関わらず編集者は出勤でめっきり疲れる。ランチを食べに出かけた近所のフレンチは「クリスマスメニューのためディナーのみ営業」という無情の張り紙が。そりゃあ稼ぎ時なんだろうが、腹の減ってるサラリーマンがここにいることも忘れちゃいけない、と毒づいて隣の食堂へ(^_^;)。
 通勤の友としてここ二日ほど聴いているプレヴィン作曲の新作オペラ『欲望という名の電車』がなかなか宜しい。現代音楽とおそれる必要はぜんぜん無く、ニューオーリンズのけだるい雰囲気が漂う。もちろんブランチやミッチのアリアもあって、泣かせる。台本も概ね原作を尊重した良いものになっているようだ(たぶん(^_^;))。
 ライナーノーツの、プレヴィンのインタビューを読んでいたら、劇場での初演はジェシカ・タンディとマーロン・ブランドだったそうだ。演出はエリア・カザン。映画版は確かタンディの代わりにヴィヴィアン・リーだったと思うが、どうだろう。演出は誰だったかな。ヴィデオでも借りてきて観たいところ。

1998.12.22
 師走に何がツライかといって、遅くまで残業した帰宅の電車で酔っぱらいの皆様とご一緒することほどツライことはない。騒ぎ足りない連中は大声で叫んでいるし(あれは会話なのかな、叫んでるようだけど)、暑いといって窓を全開にし、この冬一番の寒気を車内に取り込んで下さる方も。吊革にぶら下がって寝ている方もおられるが、えーい、そんなに寝たいのなら早めに切り上げてさっさと家に帰って寝ればよいのに。うーむ、こちとら残業なのだぞ。この不景気に儲からない仕事を遅くまでやっつけて、こんな時間にご帰宅なのに、そちらさまは忘年会だかなんだか知らないが、う、羨ましいぢゃねぇか(^_^;)。

1998.12.21
 週末はNHKの衛星放送で『風と共に去りぬ』を観る。中学のときに劇場で観たのが最初で、懐かしい。4時間があっという間だった。ただ、作品の出来としてはいまいちなんぢゃないのか、というのが今回の感想。大河ドラマの割には登場人物が少ないし、大した性格描写も為されていないと思う。メラニィが少しでき過ぎた人物で怖いのだよな。アシュレィの描写も単純過ぎる。
 だいたい、4時間もかけているのにそれぞれの役者のカットが少なくないか。今回トマス・ミッチェルが出ているのを今更ながら発見して嬉しかったのだが、出番がやたら少ない。味のある役者なんだがなぁ。ハティ・マクダニエルは少し小錦に似ていて笑った。で、残りの時間は何が映っていたのか。

1998.12.18
 昼間はみょうに暖かかった東京地方、夜にはすっかり冬に逆戻り。朝夕のバイク通勤がツライ季節。駅まで片道5分足らずではあるのだけれど。
 NHKの衛星放送で007シリーズを連続放映中。考えてみるとこのシリーズ、編集者はあまり多くを観ていなくて、まとめてフォローする良いチャンスだったのだが、慌ただしくてビデオにすら収めていない。ただ、初めての『ドクター・ノオ』『女王陛下の007』はどちらも7割程度観ることができた。レイゼンビーのボンドは意見の分かれるところかも知れないが、編集者にとっては完全にイメージ違い。PLAYBOYのセンターフォールドを眺めてニヤつくボンドなんて、なぁ(^_^;)。この映画、シナリオもかなり無茶だし、興行的にはどうだったのだろう。
 『クラシック音楽Webリング』、今のところ斉諧生さんのページとの輪に留まっているが、当通信には斉諧生さんのページ経由でおいで戴くお客さまが急増。恩恵を受けるばかりではいけない、と反省しきり。当方の内容充実にも力を入れないと。

1998.12.17
 受け付けを始めた『クラシック音楽Webリング』だが、さっそくお問い合わせ等の反響を戴いており心強い限り。登録一番乗りは愛読させて戴いている斉諧生音盤志で、たいへん嬉しい。と同時にいよいよ、という緊張感に身が引き締まる思い。登録して戴く皆様のためにも、なんとか盛り上げていきたいもの。

1998.12.16
 親しくおつき合いさせていただいているある方から、ウェブリング・ジャパンというサイトで提供しているシステムのことをお教えいただいた。もともと米国のシステムだったものを日本語化して使えるようにしたもので、なかなか面白そう。要は同じカテゴリのWebサイトを相互にリンクし合う仕組みで、大きく成長すればもっと多目的なメディアに使えそう、というのは他のシステムと似ている。
 で、このさい東越谷通信10,000アクセス達成も記念して(^_^;)、試しに『クラシック音楽Webリング』というのを作ってみた。ページへ飛ぶと多少もっともらしいことが書いてはあるが、あまりテーマにこだわらずにどんどん登録してみていただければ、と。何卒宜しくお願い申し上げます。

1998.12.15
 ブラックジャックの本名、名は黒男、で姓は間(はざま)、って突然何のことやら。
 コミックって、編集者も実家にけっこう溜まっていて、ブラックジャックも秋田書店のを連載中から買い足していたから、たぶん殆ど初版本だと思う。こういうのって、きっと古本屋に売っても二束三文なんだと思うのだが、欲しい方にとっては貴重な資料なのかも、と妄想を膨らませている。とりみきの『るんるんカンパニー』とかも全巻揃ってて、まぁ何となく捨てずにとってあるのだが、こないだあるサイトで、あちこち探した末にようやく見つけて入手した、なんて話を読んで驚いた。
 いまはいろんなものの価値が一様じゃないから、例えば古本屋のおやじさんの見極めも難しくなってるのだろうなぁ。インターネットで古本オークションってけっこうビジネスになると思うのだが、どうだろう。

1998.12.11
 けっこう評判になっている大阪弁変換Proxyサーバ。サイトをあちこちみて廻ると、現代思想変換フィルターとかいろいろあって楽しめる。編集者にとっては、いつぞやの『丸谷君』以来のヒット。

 音盤感想の更新が止まってしまって、購読者様には申し訳なく思っている。週末には少しまとめて追加できれば、とも思うのだが.... ここ数日はプーランクのまとめ聴きや、DGの現代音楽シリーズで武満さんの『トゥイル・バイ・トワイライト』、ブーレーズ『レポン』などを聴いたりしている。BMGのプーランク室内楽曲集(二枚組)はとても宜しい。フルート・ソナタのチャーミングなことと云ったら! タワーレコードでは2,800円弱で出ているのも嬉しい。あ、それから20世紀のピアニスト・シリーズの、アンドレ・プレヴィン選集は良かった。ニューヨーク・フィルハーモニック協会が出したマーラー選集にもトライし始めているところ。

1998.12.09
 朝、腕時計が止まっているのに気付いた。どうやら電池切れらしい。昼休み、オフィスにほど近い百貨店の時計売り場へ行って電池交換をして貰うことにする。たしか二年前にもここでお願いした。実直でいかにも腕は確かです、といった風貌のおじいさんが、二年前と変わらず対応して下さる。
 「ああ、やはり電池切れですね」内蔵電池を取り出してテスターをあてたおじいさんはそう言って、新しい電池を入れてくれた。いつものようにブロアーで埃を飛ばし、少しグリースのようなものを塗ってから、蓋をパチンと閉める。時計の針が再び動き出したことを確かめてから、おもむろに現在時刻をセット....
 ....しようとして、おじいさんの顔が少しゆがむ。竜頭がピクリとも動かない。いつのまにか内部に汗か何かが浸入し、錆びてしまったものらしい。ここからが大騒ぎで、おじいさんは次から次へと工具を取り出しては、あの手この手で何とか竜頭を復活させようと試みる。編集者が息を詰めて見守るなか、やがておじいさんは会心の笑みをたたえて顔をあげ「何とか合わせました」と仰った。工賃なし、電池代のみの請求で、プロの技を堪能させて戴いた。まぁ、普段から手入れしていればこんなことも起きないのだろうが。

 話はかわるが、さいきん教わったWebの裏技。どこでも良いから、URLの手前に http://210.159.30.200:8080/-_- とつけてアクセスしてみて欲しい。たとえばこのページならこんな具合である。朝日新聞あたりでやっても楽しい。

1998.12.08
 さる12月3日深夜というか、4日未明というかに、当通信の累積総発行部数は1万部を突破した。ほんとうに有り難いことであって、ここをお読み戴いているすべての方にお礼を申し上げたい。何だかんだで2年以上も続けてきて、とくにさいきんは雑事にかまけて更新をさぼったりして申し訳ない有様なのだが、その一方で、ここをきっかけに多くの方と出会えることができた。貴重な情報や知識を得ることも数多く、受けた恩恵は計り知れない。その恩恵に少しでも報いることができるよう、今しばらくは徐々に続けていきたいと考えている。ある方から頂戴した激励メールで「闘病記みたいにならないよう、お元気で」と仰って戴いたが、愚痴や病気のことは禁句に(^_^;)頑張ります。
 で、1万アクセス記念企画の類をあれこれ考えたが、どうもなかなかぱっとしないものばかりなので、当面このままで続けることに。もちろん1万アクセスを機に祝辞/激励/応援/叱咤/罵倒/攻撃等々のメールは受け付けているので、お読みの方はぜひ何か一言お聞かせ下さい。
 話はかわって、先週手に入れてあっという間に読んでしまった書籍のお話。ビアスの『悪魔の辞典』は古今東西、どなたもご存知の奇書で、さまざまなパロディもあまた出現しているが、ここにサラリーマン向けの一冊が新たに登場した。その名も
  『ビジネス版:悪魔の辞典』(山田英夫著)
メディアファクトリーから出たばかり、お値段は950円。著者は早稲田大学の教授だが、この方は三越から三菱総研を経て現職、というキャリアをお持ちで、実務経験もばっちり。で、例えば、

  • 納期:仕事に着手する翌日のこと
  • 暗証番号:生年月日か電話番号以外を使うと忘れてしまうのもの
  • マックOS:こまめにファイルを保存する習慣をユーザーに体得させる機能まで盛り込んだヒューマンインターフェイスに優れたOS
  • ニッチ戦略:売れそうもない時に、前もってはる予防線

    という具合に続き、収録語数はじつに300語以上。編集者は某大手製造業でのサラリーマン経験もあるのだが、そういう下地があるほど笑える、気がする。ぜひ書店で手にとって、笑って戴きたい。

  • All Rights Reserved. Copyright(c) ONO,Akira 1998