大島幹雄著『虚業成れり—「呼び屋」神彰の生涯』(岩波書店)を読了。ちょいと手こずったのは、じつに378ページの大著であったことと、若干読みづらい文章であったことが原因か。
それにしても、ドン・コサック合唱団やらレニングラード交響楽団やら、はたまたボリショイ大サーカスやらを、旧ソ連と国交が無い時代に初めて日本に呼んだ神彰の破天荒な活躍ぶりはなかなか興味深いものがあった。一言で「時代」と片付けてはいかんのだろうが、ついつい、そういったコトを想起させる。呼び屋としての二度の倒産を経て、居酒屋「北の家族」でまたまた復活を成し遂げるバイタリティー。創刊まもない「ぴあ」によくこの居酒屋の広告が出ていたように記憶するが、神彰自身の手になるというコピー「ふるさとを今夜は誰とくみかわす」は懐かしい。
クラシック方面でもこの四半世紀、大きな「呼び屋」の栄枯盛衰を目撃してきた。素人目にも業界最大手と思われた某社が、いとも簡単に潰れてしまうことの不思議さも、この本を読んだいまは容易に理解できる。本の題名がじつにいいよな。
Posted by ナゾの編集人 at 2004年6月22日 23:39 | TrackBackSu | Mo | Tu | We | Th | Fr | Sa |
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