2005年7月31日

『ジークフリートの冒険』

 新国立劇場の企画公演「こどものためのオペラ劇場『ジークフリートの冒険』」を観る(7/31 15:00 新国立劇場・中劇場)。初台のこのホール、オペラ劇場も含めてじつは初めて。同時間帯にオペラ劇場のほうでは、話題の二期会公演『フィレンツェの悲劇』をやっていたらしいが、こちらはいたって健全。しかし子供向けに『ニーベルンクの指輪』全曲から抜粋・再構成して1時間ものの台本とは快挙というか、暴挙というか(^^;)。
 あらすじはオリジナルとは少し(笑)違っていて、詳しくはリンク先をご参照願いたいが、要するにヴォータンの言いつけに背いてノートゥンクをへし折ってしまい、罰として永遠の眠りについたブリュンヒルデを、森の小鳥に唆されたジークフリートが、ラインの黄金でつくった指輪を持参して起こしに行くというおハナシ。ん? 結構原作を踏襲していたりして?
 冒頭からトヨタ製のロボットが出てきたり、ヴァルキューレがブリュンヒルデを含めて4人しか居なかったり、ジークフリートがケータイで電話したり、とか、茶目っ気たっぷりだが、子供たちにも大いに受けていたところをみると、これは台本作家と編曲者の勝利か。ちなみにオーケストラは約15名プラスシンセサイザーで、ホンモノを知る耳にはあまりにもモノ足りないが、声とのバランスも含めてまずまず、よくできていた。
 編集人はと言えば、森の小鳥役のソプラノ、直野容子さんに一目惚れ。物語全体を進行させるトリックスターとして大活躍。いやもう、チャーミングなお芝居が可愛いの何の。歌ももう少し聴きたかったなあ。
 じっさいのところ、ワーグナーのあの、長い長い歌をザクザクと刈り込んで聴かせるのだから、有り難さをやや通り越して一抹の寂しさも無い訳ではなかったが、ハイライト版として気楽に楽しめば、ああそういえばアノ場面、コノ場面、と想い出すこともできて、お値段も考えればまずまずお買い得では。昨年夏のプロダクションの再演だそうだが、来年も再来年も続いてくれれば、また新しいオペラファンが生まれるかも。
 ところで開演前、終演後にホワイエにいたのは多分、ノヴォラツキー総監督だと思うのだが、いいのか、ツェムリンスキーのほうは??

Posted by ナゾの編集人 at 2005年7月31日 23:21 | TrackBack
Comments

それは、貸し小屋公演でなくて主催公演の方にいるのが監督のつとめでありましょう>ノヴォ

Posted by: ガーター亭亭主 at 2005年8月 2日 05:08

なるほど、仰るとおりですね>>亭主様

それにしても、優秀なリーダーはちゃんと現場にいる、という見本のように思ってしまいました。

Posted by: ナゾの編集人 at 2005年8月 3日 00:12
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